カメカミ幸福論
ダンと、その存在に気がつかない美紀ちゃんが交互に言葉をかけてくる。それだけでもう、発狂するかと思った。
おおおおおお~!酷いじゃないの、酷すぎじゃない!?なんてことするのよ、ちょっと、私の可愛い後輩にひっつくんじゃないわよ!このバカ神!
笑顔のままで呪いをかけど、ダンはニヤニヤしたままで美紀ちゃんにぴったりとひっついている。
「・・・大丈夫じゃ、なさそうですね」
美紀ちゃんが心底心配そうな顔をしたところで、私は奥の手に出た。
つまり、見ないことにしたのだ。二人まとめて。
ケータイにメールが来たかのように装って、目を外し鞄を探りながら言った。
「大丈夫、大丈夫よ~!ちょっとここ最近男運も悪くてさ!それで、ほら、それがフラッシュバックみたいになって・・・」
「男運?」
美紀ちゃんの声だけが聞こえる。よしよし。本当に腹が立つけれど、とりあえずこの子と別れるまではダンを罵ることも出来ないのだ。平常心、平常心・・・。
「亀山さん、もしかして・・・・何か面倒臭い男性に付きまとわれてるとか?」
ぶぶーっ!
唾を盛大に床に噴出してしまった。・・・よ、よかった、ビールとか飲んでなくて!!