カメカミ幸福論
あまりにビンゴな美紀ちゃんの言葉に、私は激しい反応をしてしまい、お陰で聡明な後輩はそうだと断定してしまったらしい。
ぐいっと身を乗り出す気配。それから真剣な声。
「そうなんですねっ!それで、その人の事を忘れたいが為に仕事にも没頭せざるを得なくなってるとかですかっ!誰、誰なんです?亀山さん人に頼らないから、全然知りませんでしたよ。もしかして、まさか、ストーカーとかですかっ!?」
「え?!す、ストーカー?」
私は慌てて体を起こして彼女を凝視した。幸いなことに、すでにダンは彼女から離れていたようだった。確かに面倒臭い男性に(正しくは男神に)付きまとわれているけれど、決してストーカーなどでは!!つまり、ほら、生きた人間って意味の。
そんなのでは勿論ない。だからちゃんと説明して彼女の不安を説かねばならない。ダメダメ、これ以上心配かけるわけにいかないわよ~!!
「いや、あの、美紀ちゃ―――――――」
私は驚きのままの見開いた目で、否定しようと口を開けた。
その時、これまた全くお呼び出ない声が、低くて聞き覚えのある声が、背後から降って来たのだ。
「ストーカー!?―――――――カメ、そんな危ない目にあってるのか!?」
振り返るとそこには店の照明を浴びて立つ、小暮の姿が。
・・・・・・・・・・・・なぜ、あんたが今ここに・・・。