素顔のキスは残業後に
一瞬の沈黙が息苦しい。


断られたら、どんな顔すればいい?

そう思うと鼓動がありえないほどの速さで加速する。

恥ずかしさに熱を持った頬を横に逸らすと、ひんやりとした指先と自分のそれが絡み合って、



「行くか」


少し照れたような柔らかい笑顔を向けられる。
トクンと胸を震わす想いに導かれるように、絡み合う指先に力を込めた。





柏原さんが私のマンションに来たのは、ふたりで料理したあの日以来だった。


どちらからということではなくて、求め合うように柔らかいキスを重ねる。

ベッドサイドの灯りを点ける間もなく、待ちきれないように首筋を柔らかい唇でなぞられた。
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