素顔のキスは残業後に
もう少しだけ。こうしていたかったのに。


ふたりだけの空間が甘い吐息で満たされる前に、唇は引き離される。

キスで潤った下唇をひんやりとした親指がそっとなぞるように触れながら、



「もの足りなさそうで悪いな。けど、シャワー浴びたい」


そんな色気を含んだ低い声で囁かれる。


反応を試すような意地悪な囁きにカッと熱を帯びた頬を逸らそうとすると、

そうはさせないとばかりに優しく頬を包み込まれて、



「向うで満足させてやる」



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