素顔のキスは残業後に
いつだって自分のことより、まず他人を気遣う。

新人の頃から親身に相談に乗ってくれた由梨さんは、出会った頃と変わらない。


私達の関係だって……変わるわけがない。


そんな当たり前のことに目の奥が熱くなる。


床に散らばるポーチや書類。

広がって落ちた手帳を彼女の鞄に仕舞おうとすると、手帳から一枚の写真がひらりと落ちた。


白い砂浜で寄り添うように映る一組のカップル。


日に焼けた彼の笑顔に息を呑んだのは、私だけじゃなかった。



「友花ちゃん……」

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