素顔のキスは残業後に
そんな明るい声が会場に響くと

雅人の隣に並ぶ新婦が少し照れくさそうに、淡いピンク色に染められた唇を動かした。



「決め手なんて、上手く言えないんですけど……」


そんな前置きをした彼女の視線が雅人へ向けられる。

彼女の柔らかい笑みに雅人の頬が綻んでいく。


マイクを手に取った彼女は視線を会場に向けて、一呼吸置いてから続けた。


「幸せになりたい。

そう強く願った時に思い浮かんだのが彼の顔で、彼の隣にいる自分しか思い描けなかった。

ただ――……それだけです」

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