素顔のキスは残業後に
迷うように揺れ動く由梨さんの瞳を思い出す。


『どうしても彼とやり直したい。それが叶うなら、何を失くしてもいいって』


誰かを変える力を持つ由梨さんを

特別な人だと思っていた。


だけど彼女だって、特別ではなかった。


何かを変える力なんて、私にはない。


彼にとっては必要のない言葉なのかもしれない。

無駄な想いかもしれない。迷惑かもしれない。


だけど、伝えたい。

そう思ってしまう馬鹿な自分がいる。
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