素顔のキスは残業後に
他人を傷つけようとする悪意ある眼差しに、酔っているとはいえ、いい加減うんざりだった。

心にスッと冷たいものが走る。披露宴会場を見渡した。

ぐだぐだしている私達のテーブルは最後に回されて、会場には式場の人が数人残っているだけだ。


「なにしてる。早くしろっ」


「あの、私っ。このあと……」


「なんだ?」


「――いえ。ワイン持ってきますね」



頬を引き攣らせた彼女の横顔を見てもう我慢の限界だった。

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