素顔のキスは残業後に
声かけした女性は苦笑いを残して、別のテーブルに足を向けた。


取り残された私達のテーブルには重苦しい沈黙だけが流れていって、



「まぁまぁ。部長」


そんな沈んだ空気を変えようとした課長が今度は美香ちゃんと部長の間に入る。


管理職っていうのは、こんなことまでしないといけないのか…


総務部のテーブルを取り囲んでいるすべての人から、そんな心のつぶやきが聞こえるのに。

ただひとりそれを感じ取れない部長は「おい」と美香ちゃんを顎でしゃくった。


「さっさとワインを持ってこい」
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