素顔のキスは残業後に
立ち上がり席を離れるみんなを

部長が引き止めることができないのは、部長の腕を強く掴んでいる課長の存在があったからだ。

柏原さんの前を通り過ぎていく美香ちゃんが、照れくさそうに言った。。


「友花さんの気持ちが、少しだけ分かりました」


「え?」


そこで首を傾げた私に、彼女は小さく笑う。


「こんなにドキドキするんですね。こんなに…いつもドキドキしてくれてたんですね。

いつもありがとうございました」


少し瞳を潤ませながら、でも清々しさを感じる笑顔で。

少し離れたところで課長になだめられている部長を横目に見た美香ちゃんは、今度はいたずらっぽく笑った。
< 348 / 452 >

この作品をシェア

pagetop