素顔のキスは残業後に
「すごく緊張して怖かったけど――……

ものすごくスカッとしたから、またやっちゃうかもしれません」


肩をすくめた美香ちゃんに私も自然と笑顔になる。

柏原さんと繋がる指先。

彼の方から少しだけ力を加えられた気がした。










いったい、何が起きているんだろう…


ガラス張りの高速エレベーターは、

戸惑う気持ち抱え込んだ私と披露宴会場を出てから無言になった柏原さんを乗せて、

静かに上昇していく。


眼下にはクリスマスで賑わう街の景色が広がっているっていうのに、

どこか不機嫌そうな彼の横顔に、黙って階数表示を見つめることしかできない。
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