素顔のキスは残業後に
「別に、桜井がいつも総務部でやってること真似しただけ。俺は桜井の恋人で上司だから、当然」


いたずらっぽい笑みに胸の奥が強く突かれる。

至近距離にある瞳。彼の顔が斜め傾く。柏原さんは柔らかい声で続けてくれた。


「さっき言ってたよな、俺を変えた係長がすごいって。だけど桜井だって、それを簡単にやってる」


柔らかく髪を撫でる手つきに、

鼓膜まで響く優しい響きに、


言いようのない想いで目の奥が熱くなる。


喉の奥を震わすことしかできないでいると、彼の指先が私の耳を掠めて髪に挿し入れられる。


「さっきの総務のみんなとか」


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