素顔のキスは残業後に

「幸せになりたい。そう思った時に何を思い浮かべるのか。私は――……柏原さんの顔しか浮かばなかった。

噂や由梨さんの気持ちを聞いて、柏原さんのことを信じきれなくて。


聞きたいことも聞けなくて。二人が幸せになるなら邪魔したくないって。

そう思いながらも、どうしても諦めたくないって思ったんです」


喉の奥から振り絞る声に柏原さんの瞳が微かに揺れる。

ただそれだけで、言いようもない愛しさが込み上げる。


伝えたいと思った。

ただ静かに願うだけじゃなくて、


そばにいるだけで心から喜んで貰えるような

必要とされる存在になりたい。

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