素顔のキスは残業後に
そう強く願うことで変われる気がしたことを。


涼しげな瞳が照れたように細まるだけで

ただそれだけで、胸が温かくなれたことを。


加速を遂げる鼓動の響きに耳を澄ませる。

いまできる一番の笑顔を彼に向けた。



「こんな自分知らなかった。私、本当はすごく欲張りみたいです」


柏原さんが気付かせてくれた。

彼を好きになって気付くことができた。


私がどうしても手に入れたいもの。

それは――……

自分の言葉で伝えて、それでやっと掴めるものだから。
< 412 / 452 >

この作品をシェア

pagetop