素顔のキスは残業後に
触れ合う肌の感触が心地いい。

初めて抱き合った時のように時間をかけて肌と肌を重ねていく。


私だけを捉える綺麗な瞳が

ここが一番安心出来る場所だと教えてくれる。



「桜井」



熱を帯びた瞳で優しく名前を呼ばれる。

それは深く体を繋げる前の合図。


組み敷かれるその前に――……


もう何度目かわからない。

意地悪を挟んだ優しさが届けられた。
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