素顔のキスは残業後に
「えっと……」


それって、来年もってことだよね?

でもここは思い切って、「再来年もお願いします」とか、欲張ってみてもいいのかな?

いや、それは――……


そんなこんなと迷っていると、柔らかく髪を撫でる指先に頭を引き寄せられて、


「時間切れ」


答えを迷う唇を塞がれる。
空いている彼の左手が背中を抱き寄せれた。

何度も重ね合った唇と触れ合って、息継ぎの度に見つめ合うだけで、心が満たされていくのを感じる。


柏原さんが、好き。
どうしようもなく――……この人が好き。


伝えたくて仕方ない想いは唇が塞がれてしまっているから、自分から求めるようなキスを返す。

数発の花火が打ち終わるまで長く続いたキス。

キスで潤った唇が名残惜しげに引き離されると、優しい色を含んだ瞳が私を見つめた。


「友花は、もっと図々しく欲張っていい」

< 449 / 452 >

この作品をシェア

pagetop