【B】姫と王子の秘密な関係



前回に引き続き、土方をしている俺に対して
今回の彼女は、瑠花ではなく、花桜の装い。




「あれっ、今日は総司はいないの?」

「香寿は今日、ダンスの方の舞台があって」



そうやって答える彼女。




一人ならば、
一緒にこの時間を過ごしても問題ないだろう。




「なら今日は俺と一緒に」



彼女の傍に近づいて、耳元で囁くように告げると
彼女の肩を抱き寄せて、イベント会場内を歩いていく。



いつもの様に撮影コールに応じながら、
時間を過ごし続ける俺たち。


ふと休憩用のテーブルが目に留まった時、
俺は飲み物を購入して、
わざとテーブルの方へと移動した。



「少し休憩。

 ほら、水分補給を忘れないで」


スポーツドリンクを手渡すと、
彼女は、ゆっくりとそれを受け取って飲み始めた。




俺も同じように、一気にペットボトルを飲み干していく。




「私……アキラさんに少し逢いたかったんです。

 あって確かめたいことがあって」


「確かめたいこと?」


「はいっ。

 でも……やっぱりこの気持ちに嘘はつけないみたいです」



えっ?

この気持ちに嘘はつけないって何が?




「何?
 それは教えて貰えないこと?」


「残念ながら、教えられません。

 もう少し大切にしたいんです。
 どっちに傾くのか……」

「そう」

「あっ、アキラさん。
 今度は何時逢えそうですか?」




今度は何時逢えそうですか?




そうやって問いかける彼女の真意は?




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