【B】姫と王子の秘密な関係

「高崎君、エレベーターで六階まで来てください」


その指示通りに、建物の中に入ると俺は
エレベーターで六階へ。


そこには、ミーティングの準備を始めているのか
何人もの社員が集まっていた。



「皆、静かにしてくれ。
 今日からSV研修を始める、高崎晃介君だ。

 高崎君の研修は、岡崎君と小川君に一任したいと思う。
 いいかな?」

「統括部長の岡崎幸康【おかざき ゆきやす】です」

「小川耕司【おがわ こうすけ】です」



藤井さんの紹介の後、
次々に俺にかけられる声。



「高崎晃介です。

 春から正式に入社予定ですが大学を卒業前に、
 暫く調整休学をしましてこちらの研修で勉強させて頂きます。

 どうぞ、ご指導宜しくお願いします」


拍手と共に迎えられて、
その日から、俺は小川さんと共に行動をすることになった。


コンビニと言う業種においてのスーパーバイザーの役割は、
完結にまとめると、加盟店であるオーナーと、
本部のパイプを繋ぐための存在。


本部が発案した営業企画を伝え、
本部の告げたノルマを達成するために、
各店舗の情報を分析して、
素人のオーナーさんたちの相談役となる。


完結にまとめるとそう言う役割のはずだけど
入社した当日から小川さんと店舗を巡っているうちに、
違和感を覚えずにはいられない。



データーだけを見て、
自分の利益の為だけの、
次から次へと加盟店に一方的に注文を付けていく。


時にはストコンで一方的に数字を打ち込んで、
コンサルティングシートと呼ばれる、加盟店への指導書類に




私が仮発注で打ち込んだ数字を、
そのまま本発注してください



っとだけ書置きして、店を立ち去っていく。
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