スタートライン~私と先生と彼~【完結】
そして夏休みに入り、チアの練習が始まった。
受験生の為にも、練習は午前中の早い時間に1時間半程しかしない。
その短時間で集中して、振り付けを覚えようとするみんなは、真剣そのもので、その様子を見ていると、自分も頑張らなくてはいけないと感じる。
練習が終わると、3年生はクーラーの効いた図書室で勉強する人がほとんどだ。
中庭でいつものように練習していると・・・。
職員室の窓から練習を見ている姿が見えた。
斎藤先生だ・・・・。
私の目は一生懸命、先生を追い掛ける。
先生がこちらを見てるのを気付いたのは私だけではなく、5組の檜山さんも気付いていたらしく、声をかけた。
「せんせ〜、みんなで通すから再生スイッチ押して〜。」
甘い声で言う。
あの子、きっと先生が好きなんや。
先生は正直、モテる。
1学期だけでも少なくても5人に告白されたとう噂だ。
もちろん、みんなフラれてる。
決まり文句
『ありがとうよ。でも彼女いるから。俺と付き合ってもいいことないぞ〜。休み少ないし。ははは〜』
・・・らしい。
フラれた子はみんな悲しい気持ちになんてならない。
先生が明るくフッてくれるから。
というか、みんなきっと本気じゃないんやと思う。
本人は本気やと思ってるけど、本当は違う。
だから、フラれた次の日に同級生と付き合ったりできる。
でも私は無理だ。
彼女がいると聞いただけで、胸が締め付けられるように痛いんやから・・・。
だからそれ以上は無理。