スタートライン~私と先生と彼~【完結】
練習が終わってから図書館へ向かおうと廊下を歩いていると、前に先生が歩いていることに気づいた。

周りに誰もいないことを確認すると、先生の元に走っていった。


「先生、さっきの練習どうでした?」

「あっ、お前もいたんやなぁ。よかったんちがうか?」


先生のそっけない言葉に、私は話し掛けたことを後悔したが、それがばれないように、精一杯強がった。


「せんせー!私、一番前で居てたのにぃ」


私なんて気付いてなかったんや・・・。

私だけが、先生を見ているんやね・・・。

そう思うと、胸が張り裂けそうなくらい、痛かったけど、そんなことを言えるはずもなく、私は平静を装う。


「先生、明日からも見ていただけますか?」


「あぁ、いいよ〜」


普通にしてようと思えば思うほど、声が上ずってしまいそうになるのをどうにかごまかして出した言葉に、笑顔で答えてくれたのが嬉しかった。


しかし、そこまでにしておくべきだったのかもしれない・・・。



「じゃぁ、今度は私の事も見ておいてくたさいね〜」


私は、精一杯の言葉を言い捨てて逃げた。



『私の事も見ておいて下さいね』



私は何を口走ってるんだろう。


でも、本心だった。


私も見てほしい。


私を見てほしい。


私だけを見てほしい。



ホントに何を言ってるんやろう・・・。


自分が言ってしまった言葉への後悔を胸に、私はいつものように図書室へ向かった。


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