スタートライン~私と先生と彼~【完結】
「おはよう。さっちゃん、準備出来てる?」
俺は、4ヶ月振りくらいに実家に帰るために、さっちゃんの住んでいるアパートに迎えに来ている。
いつか、さっちゃんも一緒に連れて帰れたらいいな。
そんな淡い想いを胸に、さっちゃんが出てくるのを玄関で待った。
中に入るように言ってくれたが、遠慮しておいた。
ほぼ毎日のようにさっちゃんに会っているが、彼女の部屋にはまだ一度も入ったことがない。
そして、俺の部屋にもさっちゃんを上げたことはない。
それがお互いの暗黙のルールだった。
きっと、さっちゃんは俺が自分に好意を寄せているのを知っている。
だから・・・そんな男を簡単に部屋に入れることができないのだろう。
俺は、そう推理する。
少しくらい・・・なんて思ったりするけど、結局そんなきっちりした彼女に魅力を感じでしまうんだ。
実際、同じ部屋にいたら、俺は何かをしてしまうかもしれない・・・。
だから・・・部屋に入るのは、恋人同士になるまでおあずけ。
恋人同士になることなんてあるのかは、わからないが・・・。