スタートライン~私と先生と彼~【完結】
「斎藤先生も一言」
えっ?
まじで?
この感動的な場面で俺の挨拶なんてありえなくない??
「あ、はい」
俺は正直な気持ちを言葉にした。
川田先生の挨拶の後で、鼻をすする音がそこら中から聞こえる中、俺は彼らへの最後の挨拶をし始めた。
「みんな卒業おめでとう。俺は、このクラスの副担任になれたこと、嬉しく思っています。どんな時も笑顔で、みんなで励ましあえるクラス。俺はこのクラスがめちゃくちゃ好きやったで!俺のわかりにくい授業も真面目に聞いてくれてありがとう」
「先生の授業わかりにくくないで!」
「そうやで!わかりやすかった!」
「みんなわかりやすいって言ってたで!」
みんなが一斉に言ってくれた。
その言葉で俺は、これからの教師人生を乗り越えて行けそうだよ・・・。
本当に、最高の褒め言葉をありがとう。
「そうか?ありがとう!同窓会する時は、川田先生だけじゃなくて俺も呼んでくれよ!」
情けないが、生徒たちの言葉に俺も涙ぐんできていた。
一つねじが緩んでしまえば最後、涙が溢れてきた。
「当たり前やん!」
この一年間、俺は社会人一年生として、お前らに何をしてあげることができるのかが、とても不安だった。
でも、きっと君達の涙が語っているように、俺はお前らの人生の1ページに軌跡を残すことができたような気がする。まだまだ未熟な俺を育ててくれたのはお前らだ。
ありがとう。
お前たちのことは、忘れない。
そして・・・君のことも。