♀ my prince ♂
―三人とは一旦お別れて。
私は彼のお見送りが出来るギリギリの所に差し掛かった。
「…玲央くんっ!」
「ぇ…」
キャリーバッグを引き少し前を歩いていた彼の背中にそう叫ぶ。
その背中が振り返った瞬間…私は持てる力を全て使い抱きついた。
「連絡…してね…?」
「うん……絶対する」
彼の腕も…私の背中に回される。
「絶対、絶対…してね…?」
「うん…」
「私もするから…」
「うん…」
「用がなくたって…連絡するから…っ」
やばい…涙が出そう…。でも今日はダメなの…。
玲央くんがいる間は…奥に引っ込んでて…っ!!
「うん…分かったよ…」
彼は私の身体を少し離した。
「未亜ちゃん…」
「っ…」
そして…視線が絡まる―。
あぁ…だめ…大好きだよっ…離れたくない…。
こんなに見つめられたら…離れがたくなる…。
ちゅ…っ
「っ…!」
そう思ったのも束の間…彼はおでこにキスを落とした。
「今は…これで我慢して…?」
「……なん…っ」
「唇になんてしたら…よけい未亜と離れがたくなる。」
思わず“何で?”って言ってしまいそうになり口ごもる。
だけど彼には…私の思っていたことは全てお見通し。
「っ…」
ば…ばれてる…。
「じゃあ…もう行かないと…」
そう言ったあと…完全に身体が離された。
「バイバイ、じゃなくて……またね…?」
私は笑って彼にそう告げる。
「うん……またねっ」
最後に見た彼の笑顔。それは…私が一番大好きな顔。
彼は手を振ってゲートの向こうへと消えていった…―。