【完】クールな同級生と、秘密の婚約!?
母さんは毎日ヒステリックを起こし、家の中を暴れまくった。
『父さんに言うんじゃないわよ!?
言ったらただじゃおかないんだから!!』
母さんは暴れた後には決まってそう言い、鬼のような形相で俺を睨みつけたから、まだ小さかった俺は親父に相談することもできなかった。
そして親父も、親父がいるときの母さんは精神が安定していたから、家庭のそんな状態を知らなかった。
母さんが暴れ出すと、俺はどうすることもできなくて、母さんが疲れ果てて寝るのを怯えながら待っていた。
そうして母さんが疲れて寝てしまった後、部屋の後片付けをするのが俺の役目だった。
目を覚まして、もしもいつもの母さんに戻ったら、きっと悲しんでしまうから。
母さんに少しでも辛い思いをさせたくなくて、なにも無かったことにする。
でも、片付けをする時はいつも胸が痛んだ。
片付けしかできない自分が、情けなくて頼りなくて、悔しかった。
そんな日々を繰り返す中で、いつしか母さんの精神状態は限界まで来ていた。