【完】クールな同級生と、秘密の婚約!?


湊が好き。

でも、もうこの恋もおしまい。


私たちは政略結婚。結局は形だけの夫婦。


お互いの気持ちが、お互いに向いてないことは、ちゃんとわかっていたはず。


……それなのに。私、錯覚してたのかもしれない。


もしかしたら、湊も同じ気持ちでいてくれてるのかもって。

そんなこと、あるはずもなかったのに。


私はテーブルの上に、手紙と湊へのプレゼントを置いて、部屋を出た。


マンションの敷地を出て振り返り、湊の部屋を見上げると、たくさんの思い出が蘇ってくる。


短い間だったのに、なんでこんなにも大切な思い出になってしまったのだろう。


じわじわと、熱く痛く滲む涙をぐっと抑えて、呟いた。


「さよなら、湊。今まで、ありがとう……」


あなたのことが、好きでした。





< 136 / 238 >

この作品をシェア

pagetop