【完】クールな同級生と、秘密の婚約!?
湊が好き。
でも、もうこの恋もおしまい。
私たちは政略結婚。結局は形だけの夫婦。
お互いの気持ちが、お互いに向いてないことは、ちゃんとわかっていたはず。
……それなのに。私、錯覚してたのかもしれない。
もしかしたら、湊も同じ気持ちでいてくれてるのかもって。
そんなこと、あるはずもなかったのに。
私はテーブルの上に、手紙と湊へのプレゼントを置いて、部屋を出た。
マンションの敷地を出て振り返り、湊の部屋を見上げると、たくさんの思い出が蘇ってくる。
短い間だったのに、なんでこんなにも大切な思い出になってしまったのだろう。
じわじわと、熱く痛く滲む涙をぐっと抑えて、呟いた。
「さよなら、湊。今まで、ありがとう……」
あなたのことが、好きでした。