【完】クールな同級生と、秘密の婚約!?
「わぁ! ありがとう、湊! 覚えててくれたんだ……」
「当たり前だよ」
「嬉しい……!」
亜瑚が勢いよく俺の胸に飛び込んでくる。
「おわ、」
ソファーに腰掛けていた俺は、その反動で仰向けに倒れた。
「ふふっ」
上体を起こして、無邪気に笑い声をあげた亜瑚の顔から、不意にはっとしたように笑顔が消える。
亜瑚が俺に馬乗りするような体勢になっていることに、今更気づいたのだろう。
頬に熱が宿るのが、見ていてわかった。
静かに腕を伸ばし、亜瑚の頬に垂れかかる髪をさらりと耳にかけると、ぴくんと亜瑚の肩が揺れる。
……緊張、してる。