たゆたえども沈まず

エプロンをつけたお母さんが、食卓の椅子に座る。

私に兄弟はいない。この家は二人では広すぎる。

「一度、夜遅くに帰って来たことあったわね。あの時、誰といたの?」

「だから、友達だって……」

「艶野さんの息子といたんじゃない? 久喜くん」

ドキリ、とした。

お母さんの口から久喜の名前が出てくるなんて思っても見なかった。

"あの時"以来だ。

それより、どうして久喜と一緒にいるのがバレているんだろう。気をつけて外は歩いていたのに。

いや、学校の人に知られている時点で、効力は無かったのかな。


< 95 / 163 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop