おやすみを言う前に

「拓馬。」

「うん?」

「…………すき。」


初めてのデートを思い出す。

あの時と同じように照れて真っ赤な麻衣子。もう、限界。


その細い身体を抱っこする格好でベッドに押し倒す。上に覆いかぶさってキスを。

一度唇を離す。片手でネクタイを緩めて外した。今度は深いキス。絡む舌の隙間から、麻衣子の吐息が漏れる。

首筋にもキスを落として耳に舌を這わせたところで、麻衣子が両手で肩を押し返してきた。


「たく、ま。」

「何?」

「お風呂、入りたい。」


下からうるうるした瞳で訴えかけてくる。そんな風にされたら止まるもんも止まらなくなる。
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