呉服屋の若旦那に恋しました

私は突然の質問に少し戸惑ったか、目を細めてはっきりこう答えた。


「うん、すごく」


そう言うとおばあちゃんは、良かった、それが聞きたかったの、と言って、安堵したように微笑んだ。

志貴の前じゃ絶対にこんなこと恥ずかしくて言えないけど、おばあちゃんの前では素直にそう言えた。

おばあちゃんは、本当に私のその言葉を聞きたかっただけらしく、これ以上仕事の邪魔をしちゃダメだから、と言って席を立った。


「少ししか話せなくて残念……今度はゆっくり来てね」

「ええ、ちゃんとメールするわ」

「………藍ちゃんは元気?」

「ええ、相変わらず忙しそうだけど、衣都の様子を見てきてって、言われたわ。あの子も、衣都ちゃんのことが心配だったみたいね」

「え、藍ちゃんが……?」


あの藍ちゃんが、私の心配をしてくれているなんて……。

なんだか嬉しい事実に、つい顔がほころんだ。

藍ちゃんとは仲が悪いわけじゃないけど、志貴のことをあまり良く思っていないのは十分分かっていた。だから志貴と仲の良い自分は、もしかしたら嫌われているのかもしれないと幼いころから感じていたのだ。

この間お母さんのお墓参りに行った時は、一泊しかできなかったので会いに行けなかったけど、今度はゆっくりおばあちゃんと私と藍ちゃんの3人でお話したい。

そのことを伝えると、おばあちゃんは凄く喜んでくれた。


「藍ちゃん……、もし私が志貴と結婚したら、結婚式来てくれるかな」

「そうね……。きっと藍ちゃんは、志貴君がいつまでも責任感で縛られたりしていないか……、償いの意味で接しているのではないかって、心配なのよ……」

「え……?」

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