呉服屋の若旦那に恋しました


その話を、受け入れろと神様が言ってるような気がした。

木下先生に心からお礼を言って、私は通話を切った。

そして、携帯を畳の上に投げて、また両手で顔を覆った。


なぜ、こんなに謀ったようなタイミングで、志貴と離れる道が用意されたのだろう。

   、、、、、、
もう、そういうことであるような気がしてならなかった。



“お願い、もう彼を、自由にしてあげて……っ”。



美鈴さんの言葉が、ナイフのように鋭く胸を刺す。

志貴の日記の言葉が、あの震えた文字が、私の胸の中をぐちゃぐちゃにする。

もし、志貴が本当に償いの気持ちでずっと私を守っていくと決めたなら、志貴は本当にそれで幸せなのかな……?

私は、志貴に優しくされるたび、どんな気持ちでいたらいい……?


もしそれが本当の志貴の気持ちなら、

私にとって大切な思い出も、何もかもすべてが、一気に色を変えていくことになる。



『志貴兄ちゃん風邪移っちゃうよ』

『俺ん家風邪ひかへん家系なんや』

『え、そうなの?』

『そう、かなり薄まったけど代々魔女の血流れてるから』

『魔女!? 魔女ってあの鼻が長くて毒りんごの』

『ひっひっひ~』

『やー、やだ怖いやめてー!!』

『ハハハいいから寝ろ、寝ないと魔女来るぞ』

『衣都寝るっ』

『良い子や』


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