呉服屋の若旦那に恋しました
だけど、彼は全く悪びれる様子もなくこう言ってのけた。
「この印を見せれば、もう誰も何も言ってこない」
俺が溺愛している印だと、
そうサラッと宣言して、
彼は私の赤い跡に、今度は優しく口付けた。
なんだか呆れることもできないような、彼らしい強引な対処法に、私は絶句した。
そんな私の顎を持ち、彼が、そろそろ集中して、と私を叱った。
ーーなんだか彼の愛に、私はいつか飲み込まれてしまいそうだ。
志貴という熱にうかされながら、私は、もう一度ゆっくり目を閉じた。
明日どうやってこの跡を隠そう。
そんなことを頭の片隅で考えていたが、すぐにどうでもよくなってしまった。
それは志貴の責任だから、志貴に対処してもらおう。後で考えればいいや。
そんな風に投げやりになってしまうあたり、私はすでに志貴の愛に、溺れてしまっているのかもしれない。
……そう分かっていながらも、
本能に任せて、私は彼の背中に腕を回したのだ。
溺愛のしるし 完


