呉服屋の若旦那に恋しました
「……よ、よしよし…?」
「よしよしじゃねーよ、そんな五郎に対するスキンシップと同じレベルじゃ足りないんだよ、今は」
「そんなにキスしたいか」
「……嫁にキス拒否られることがどれほど絶望的か分かるか……」
「ふふ、確かに切ないね」
「笑ってんなよ」
「あはは、なんか、笑ってたら機嫌なおった」
「………」
「……なおったから、キスして? 志貴」
ーーーそう言って彼の首に腕をまわすと、志貴は小さな声で「知らねーぞ」と呟いて、男の表情になった。
「……こっちは一週間会えないだけで、衣都不足でどうにかなりそうだったんだ……」
彼の声がだんだんと掠れて、お互いの体温が上昇していく。
私の呼吸が乱れると、必ず志貴は少し心配したように私の前髪をかきあげて、額に優しいキスをする。
私はそれが凄く好きで、彼に大事にされているということが直で伝わるから、胸の奥の奥がぎゅっと苦しくなる。
額にキスをされると、好きだと言う気持ちが波のように押し寄せて、私は彼にキスをせがむ。
すると、彼は口角をあげて意地悪く笑い、耳や瞼や頬など、わざと唇以外のところにキスをして焦らしてくる。
それに痺れを切らし殆ど睨むような視線を投げると、彼は私のその表情を見てやっと満足したように、信じられないくらい甘いキスを落とてくる。
溺愛が行き過ぎて時折いじめたくなるのだと、彼は言う。
そんな彼は、今まで相当な人数の女の子をメロメロにしてきたはずだ。
女性客に嫉妬をされて大変だということを話すと、志貴は何を思ったのか首筋にキスマークをつけてきた。
私は驚いたあとに直ぐに志貴を引き剥がした。