ラブレター2
「あい~。好~き。」

座るあいを、僕も座って、後ろから、抱き締めていた。

「えい。もう。」

僕の携帯で、ゲームに夢中の、可愛い女の子。

「こんなの、簡単じゃん。」

僕の携帯なのだが、それを借りて、笑いながら、携帯をあいの目の前で、操作する。

「ほら。ね?」

「貸して。」

再び、取り上げられた携帯に夢中の、女の子。

「あい~。」

負けず嫌いな子だった。と、思い出す。

「ちょっと、待って!!」

うん。それと、頑固。

「あい~。構って~。」

あいの前だと、気付かなかった自分がいたことに、気付く。

「えい。あ~もう…。」

「下手クソ。」

あいの右肩に顎(あご)を乗せ、僕も後ろから、それを見つめる。

「えい。」

見つめていることを知っているはずなのに、負けても、偶然で勝っても、何度もゲームを繰り返す。

「ね~。あい~。」

休日は、バイトは早出だったから、午後から、あいと過ごす時間を大切にしていた。

「ふんっ。」

と、言ながらも、あいの小さな胸を触って、小さな抵抗をする。

「あ~。もう。負けるじゃん。」

その行動をしつつ、無理矢理、顔を右へ向かせ、キスをする。

「あっ、もう。」

「ねぇ。俺とゲーム、どっちが大事なの?」

聞かなくても、分かってるけれど。

「ゆうくん。」

「ダメ~。言動と行動が、矛盾してる。」

甘えても、甘えても、足りないくらい、好き。なのか、寂しい。なのか。

「もう、いいもん。」

携帯を取り上げれば、簡単な話なのだが、楽しそうなあいを見ると、何もできなかった。

もう、どうでもいいや。と思うと、疲れていたせいか、心地良い睡魔に、襲われた。

「えい!!」

気持ち良い風と共に、空に吸い込まれそうだったのに、

「おま…マジ、勘弁してくれよ。」

携帯のアンテナを、僕の横腹へ突き刺すように、こちょこちょ。をされた。

「おはよ~。」

携帯を閉じてくれたあいが嬉しかったけれど、その行動には、嬉しさ。なんて、無かった。

「ギュってしてくれたら、許す。」

そう言うと、僕の寂しさを包み込むように、あいが抱き締めてくれた。

体制を逆転させ、あいの上に、僕が股がる。

「もう、チューしない。」

そう言っても、あいの、え~。が可愛くて、つい、キスをしてしまう。
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