ラブレター2

太陽の光

今、立っている場所よりも、高い山には敵わないと思うが、街並みを見下ろすと綺麗な街灯達。

風も涼しいのだが、やはり、激しく僕らを襲う。

錆びた手摺(てすり)の向こうは綺麗だが、下を覗き込むと、落ちると助からないだろう、木々が沢山ある。

隣りで、景色を眺めるあいが、体を震わせているのが分かる。

「これ、着てて。寒くないから。」

首を横に振る、あい。

「困った子。」

恥ずかしがりの子だから、後ろから誰にも見られないように、筒み込む。

「あと、二分。」

冷たい携帯を開き、時計を見て、呟く。

「ねぇ。」

「ん?」

何か言おうとしたのだが、忘れてしまい、沈黙が続く。

「何?」

寒いのだろうか、怒ったようにも感じる、あい。

「いや、後一分。」

そう言うと、あいは笑って、カウントダウン。と言って、数え始めた。

「…ごじゅうきゅう…ごじゅうはち…」

「にひゃく…よんじゅうに…はちじゅう…」

あいが僕の顔を見て、負けないよ。と笑って、続きを歌う。

「…ごじゅういち…ごじゅう…よんじゅうきゅう…」

僕も負けず嫌いなのだが、あいの頑固さに負けてしまい、言葉を変えた。

「俺のこと好き?」

聞かなくても分かっているのだが、笑って僕を見て、

「…さんじゅうなな…さんじゅうろく…」

と、頑固さん。

「ふーん。嫌いなんだ。」

こんな時間も、好きだよ。

「…さんじゅうよん…さんじゅうさん、好き…さんじゅうに…」

どこまでも、可愛いんだから。

「サンジュウさん…って誰?浮気?」

笑う君の肩に、顔を乗せて、この野郎。と強く抱き締める。

「…にじゅうに…にじゅういち…」

もう少しか。なんて、いつの間にか、あいのペースに入っていた。

「キスしてほしいな。」

「…じゅうなな…じゅうろく…」

「してくれないんだ。」

彼女は、それでも数を歌う。

「…ういち…じゅう…きゅう…」

ドーン!!

と、あいの声を邪魔するように、僕らより低いところで、花火が上がった。

二人して笑って、

「今、新年になったんだね。」

と言って、携帯の時計が、少し遅かったんだ。と言い訳をして、

「おめでとう。」

「うん。おめでとう。」

新しい年を、二人で迎えたことへ、冷たい唇にキスをする。

「あいの、今年初めてのキスを奪っちゃった。」

好き。が増えていく。

「だけど、俺の初チューあげたのは、後悔するなぁ。」

大好き。が強くなっていく。
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