殺戮都市
「あうっ!」


手に入れた武器だけじゃなく、自分の身体も武器として使う。


人を殺したくないと言ってる俺は、やっぱりこの街には合わないのか。


無意味に戦っていない恵梨香さんでさえ、身を守る為には容赦無く人を殺すんだ。


殺さなければ……大切なものも守れない。


つくづくそれを思い知らされる。


吹っ飛ばされた衝撃で鞘も手から離れて、壁際まで追い詰められた。


そんなチャンスを、女性が見逃すはずがない。


慌てて立ち上がったものの、すでに木槌を構えて追撃を加えようと接近する女性。


俺は……初めて思ったかもしれない。


動けない恵梨香さんの所には行かせない。


ここで食い止める。


ここで、こいつを殺すんだと。


頭の中に描かれる日本刀のイメージ。


鞘はなく、刀身が剥き出しのそれを握り締め、空間から引き抜いて両手で掴んだ。


その光景に、女性が一瞬、驚いたようにビクンと反応する。


俺は……その一瞬を見逃さなかった。


ここがチャンスと、思い切り横に振った日本刀。


切っ先にわずかに重みを感じたけど……入りが浅いのは、俺にも分かった。
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