殺戮都市
「どいてくれ。俺はこんな無駄な事をしてる暇はないんだ。今すぐにでも助けに行かなきゃならないのに……」


「ああ?アホかテメェは!行かせるわけねぇよ!!俺に恥をかかせた罰は、ソウルが尽きるまで俺に殺され続けるしかねぇに決まってんだろ!!」


その為の人の壁……。


葉山京太郎は恐ろしく強かった。


恵梨香さんと二人掛かりでも、指一本触れる事が出来ないほどに。


その初めて知った、絶望的な敗北感。


その恐怖が、まだ心を覆っている。


だけど……行かないわけにはいかないんだ。


「それは……出来ない!俺は助けに行かなきゃならないんだ!」


その為には、立ちはだかるやつは同じ軍の味方でも容赦しない。


日本刀を手に取り、構えた俺は、その切っ先を斎藤に向けた。


「ただ一方的にいたぶるだけなんてつまんねえよなあ。そうこなくっちゃあよ!!」


斎藤もまた、メリケンサックを取り出してファイティングポーズを取った。


一見すると、俺の方が圧倒的に有利な武器を持っている。


だけど、それでは優劣は判断出来ない。


かすっただけで、恵梨香さんに重傷を負わせたその拳。


当たるわけにはいかない。
< 296 / 845 >

この作品をシェア

pagetop