殺戮都市
胸がドキドキする。


呼吸が荒くなる。


身体能力では圧倒的に勝る目の前の男と、武器から与えられる力だけで戦っている。


本当に、一発食らえばアウトの危険な戦い。


本来なら敵ではない、同じ軍の人間と戦うなんて。


「さ、斎藤さん!遊んでないで本気でやってくださいよ!」


「内臓ぶちまけてやってください!!」


さらに歓声が大きくなる。


まるであの時の集会と同じみたいだ。


「どうだ、ここにはテメェの味方は一人もいねぇ。俺が正義、テメェは悪だ」


武器がメリケンサックなだけに、次に移る動作が早い。


まだ手の痺れが取れないうちに、追い打ちを掛けるさらなる連撃。


右、左と巧みに打ち分けて、俺を翻弄する。


「どうしたどうした!!防御だけで俺に勝てるかよ!!」


速くて重い、斎藤の拳。


一発一発が殺人級のその攻撃。


だけど……俺は、それを全部日本刀で弾く事が出来ている。


辛うじて……ではあるけれど。


葉山の圧倒的な速度には全く歯が立たなかったけど、斎藤くらいなら十分に目で追える。


問題なのは、あまりに連撃が激しくて、こちらから仕掛ける隙がないという事だ。
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