殺戮都市
そんな葉山に、亜美の警戒心が薄れるのは時間の問題だった。


いつの間にか葉山に頭を撫でられて、嬉しそうにしている亜美の姿に、俺は安心した。


それと比べて優は……相変わらずムスッとしたままで、俺を恨めしそうに睨んでいる。


好きだって言ってくれたんだよな。


でも、だからと言って連れて行くわけにはいかない。


俺が好きになった人も、俺を好きになってくれた人も、理沙のような目には遭ってほしくないから。


「亜美はもうなついたようだな、安心した」


服を取りに行くと言って、店内に入っていた恵梨香さんが、いつもの姿で戻って来た。


メットを手に持ち、ライダースーツを身に纏い。


「まあ、任せとけって。亜美ちゃん、おじちゃんはお兄ちゃんと話をするから、ちょっと待っててくれるかな?」


「え?あ、うん」


葉山はそう言って、亜美の頭をポンポンと軽く叩き、俺を見たのだ。


話?話ってなんだ?


そう思っている間にも、葉山は俺に迫る。


そして、少し離れた場所を指差して、俺とその場所へと向かった。


皆から離れて、一体何を話そうと言うのか。


指定された場所に到着し、葉山が口を開いた。
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