殺戮都市
「な、何!?どうして……」


よく見ると、倒れた人達に矢が刺さっている。


防衛……ただぶつかって殴りあうだけじゃないって事か。


辺りを見ると、さっきまでは分からなかった、弓を持った人達が多数いて、東軍の侵攻を食い止めるのに一役買っていた。


皆必死だ。


射られた東軍の人達も、矢を身体に刺したまま起き上がり、こちらに向かって来る。


何なんだよこの人達は……。


どうしてそんな傷を負いながら戦おうとするんだよ。


執念とも思えるような気迫に圧されて、俺の身体は硬直して動けなくなっていた。


そこに到達する最初の男。


「はっはー!!ソウルいただき!」


車を迂回して、その陰に隠れていた四人を前に、舌を出してニヤリと笑みを浮かべる。


それに続くように、至る所で東軍と南軍の接触が始まった。


「真治君!僕がやる!」


さっきまで持っていなかった金属バットを構えて、俺をかばうように立ちはだかった新崎さん。


相手は鉄パイプ。


この二人の武器だけで見るなら、互角に思えるけど……。


「明美!なんでも良いから撃って!!狙わなくて良いから!」


「そんなこと言われたって!!」


敵はこの男だけじゃない。


人の波は、まだ迫って来るのだ。
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