殺戮都市


『戦闘が開始されました。キングを破壊してください』


新崎さんが言うと同時に、端末から声が聞こえて、光の壁の色が薄くなった。











「行くぞゴルァァァァッ!!」



「出てこいや!!南軍のカス共!!」









開始と同時に、東軍から地鳴りのような怒号が辺りに響き渡る。


恐怖で手が震える。


日本刀を持った手も震えて、鞘と鍔が細かく当たってカタカタと音を立てる。


どうすれば良いんだ、俺はどうしたら!


大通りを走って渡って来る東軍の人達。


俺がいくら殺したくないと思っていても、向こうはそんな事は思っていない。


むしろ、殺す気満々で襲って来るだろう。


だけど……日本刀を鞘から引き抜く勇気が持てない。


ここが境目……人殺しになるか、踏みとどまるかという大きな。







「オラ!!そこの車の陰に隠れてるやつ出ろや!」






まずい……ここにいる事がバレてる!


その声に驚き、顔を上げた時……俺の心は完全に畏縮してしまったのだ。


一列になって押し寄せる人の波。


狂気に満ちた人の表情。


こんなの勝てるはずがない!!









そう感じて身をすくませた時、こちらに向かって押し寄せる人達が、次々と倒れて行ったのだ。
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