殺戮都市
松田のいる場所へと向かって、外灯に照らされた車道を歩く。


さっきとは違う……俺でも、あちこちから殺気を感じるのだ。


いつ、どこから襲われてもおかしくない程に。


「見付かっちまったなあ。まあ関係ねぇや。派手じゃねえと祭りじゃないしな!」


「何を呑気な。近付かれなければ、お前のハンマーなどただの飾りだろうに」


この三人の中に、遠距離武器を持っているのは一人だけ。


恵梨香さんのデリンジャーだけが、それに対抗出来る手段だけど……そもそもデリンジャー自体が狙い撃ちをするような銃じゃない。


強化してそれがどれくらい補正されているかは分からないのだ。


「忘れたかよ?俺が気を抜かなきゃ、星3程度の武器は通らねぇよ」


強化した俺の日本刀でさえ、中川の腹部を浅く斬っただけ。


こんな状況下では、それがとても羨ましく思える。


「……来るぞ。右か左か、気を付けろ少年」


と、恵梨香さんがそう呟いた時だった。


まるでタイミングを合わせたかのように、車道の両側のビルから、一斉に矢が放たれたのだ。


気を付けろ……なんてレベルの数じゃない!


これを全部叩き落とす事は不可能だと判断して、俺は右のビルへと走った。
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