殺戮都市
「少年!進む事を忘れるな!足を止めれば狙い撃ちされるぞ!」


「は、はい!」


チラリと確認した車道の方、恵梨香さんは両手のトンファーで器用に矢を弾き、中川は何もせずに矢をの雨の中を歩いている。


弱い武器での攻撃が効かないというのは羨ましい。


その分、スピードが犠牲になっているのは良いのか悪いのか分からないけれど。


「くそっ!お前ら良い加減にしろよ!」


ビルの陰から続々と飛び出して来る、北軍の最下層の人間達。


一言も発する事なく、ただただ機械的に人を襲う。


妙な連携が、俺の足を止めさせる。


一人がノコギリを振り回し、その両サイドに陣取った二人がバールで俺の足を引っ掛けようとする。


一見意味のないような攻撃に見えるが、そこに矢が振り注ぐと逃げるのも一苦労。


妙に矢を射る精度が高くて、三人の男達はその射線上の外から攻撃をしてくるのだ。


熟練の連携……そう感じたけど、手がないわけじゃない。


後方に飛んで狙い撃ちにされるなら、三人を仕留める。


ブンブンと振り回すノコギリを日本刀で叩き落とし、距離を詰めると共に横一文字に振り抜いた。
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