殺戮都市
「グルルルルル……」
怪物達の中の一匹が、俺に気付いて唸り声を上げた。
その声に反応するように、二匹、三匹と俺に視線を向ける。
戦闘中なのにどうしてこんなに怪物が街中に溢れているんだ?
俺が死んでる間に何かあったのだろうか。
不思議に思いながらも日本刀を引き抜いて、怪物に切っ先を向ける。
ナイトならいざ知らず、ポーン程度ならどうとでもなる。
悲しみに支配されたまま、何の恐怖も感じずに日本刀を構えた。
すると……。
「おい、キミ!早くこっちへ!」
俺の右後ろのビル。
その二階から声が聞こえたのだ。
何だと思い、振り返ってみると……そこには中年男性と若い男女が窓から顔を出し、俺に手招きをしていたのだ。
人を殺す事に楽しみを覚えている連中ばかりじゃない。
こうやって、人の心配をする人がまだいるのかと思うと、少し安心した。
「グルルル!ガウッ!」
視線を逸らした俺に、一番近くにいた怪物が襲い掛かる。
「危ない!」
中年男性が声を上げたけど……。
俺は正面を向くと同時に日本刀を振り抜き、怪物の身体を真っ二つにした。