殺戮都市
何だか、身体が以前よりも軽く感じる。


狩野が俺の身体で戦って、その動きが少しでも身に付いているのだろうか?


言うなれば、限界が少し引き上げられたような感覚だ。


それでも、きっと松田にはまだまだ遠く及ばないのだろうけれど。


一匹を切り捨て、牙を剥く二匹目、三匹目へと駆け寄り、素早くその首を刎ね飛ばす。


時間にして10秒と言ったところか。


怪物を一掃し、ビルの二階を見上げた俺は、どうして怪物がこんな街中に溢れているのかを聞こうと、そこへ向かった。


俺が殺したのは三匹。


だけど、道の奥にはまだ怪物の姿があって、僅かに中央部から漏れ出たとは考え難かったから。


それにしても、怪物を殺した後の俺を見る三人の目……。


まるで、俺も怪物だと言わんばかりだった。


でも、今更何と思われたって良い。


あまりに強い人間を前にして、恐怖するのは当然なのだから。


ビルの中、階段を上り二階へ。


さっきの三人が顔を出していた部屋のドアをノックすると、しばらくして人の良さそうな中年男性が出て来た。


「ぼ、僕が心配するまでもなかったみたいだね。キミ、強いんだね」
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