殺戮都市
でも、おっさんはさらに口を開いた。


今度は優しい口調じゃない……。


「僕達は星5レアだ。キミは星3レア。別に油断させなくても、今すぐにだってその心臓を貫いてみせるよ。なんなら、端末を探してそれを破壊したって良い。油断させる必要なんてないんだよ。分かるね?」


これはもう脅しだ。


互角程度の力を持つ相手なら、反発すると思うけど……この男は違った。


圧倒的な力の差を感じている。


逆らえば死ぬ……人の良いおっさんから、そんな凄みを感じた。


「く……」


生きるも死ぬも、こちら次第。


それを肌で感じたのか、悔しそうな表情を浮かべてスコップを下に下ろした。


「よし、物分りが良くて助かるよ。こんな状況で、人間同士で殺し合う意味なんてないからね」


そう言って外を見る。


あのバカでかい怪物は、目標を失ったように、ビルの前で立ち止まっていた。


どこかに行ってくれるまで、俺達はビルから出る事も出来ないって事か。


「それにしても……こんなでかいやつ、今までどこにいたんだよ。いたら気付くはずだし、隠れるにしてはでか過ぎるだろ」


東軍、北軍と戦いの場を広げたけど、こんなやつは見た事がない。
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