殺戮都市
などと考えていると、同時に二匹、左右から牙を向いて俺に迫る。


日本刀なら、何匹だろうと関係なく切り裂くけど……棍ではそれすら出来ない。


スピードだって今の俺は常人と大差がない。


だからこそ、素早く対応しなければ死ぬ!


どちらからなんて考えもしなかった。


少し近いと感じた左側の怪物の腕を目掛けて棍を振り、再び手に衝撃が走る。


怪物と棍の間に生まれた反発力。


これを押し戻すイメージで力を込めたけど……右から迫っていた怪物の手が、俺の顔を掴もうとしていた。













その恐怖から、棍を押す力が緩む。


と、同時に、反発力に負けた棍は勢い良く弾かれ、右側から迫っていた怪物に直撃して弾き飛ばしたのだ。


狙ってやったわけじゃない。


全ては偶然の一致で、運が良かっただけ。


でも、同時に二匹の怪物を払い除けられたのは事実。


殺してはいないけれど、今の俺にはそれでも十分だった。


狩野に引き上げられた身体能力は、日本刀を持っていなくても少しは活きていると感じたから。


後は、一匹だけ。


倒れた三匹が起き上がって、何事もなかったかのように俺に襲いかかる前に、こいつを倒してこの場から逃げなければ。
< 644 / 845 >

この作品をシェア

pagetop