殺戮都市
「戦闘終了時間までに自分の陣地に戻らないとダメって事ですか?」


この街の事は少し教えてもらえたけど、戦闘の事は教えてもらっていない。


実戦で……と言っていたけど、敵に情けを掛けるなという事くらいしか分からなかったから。


「詳しい事は後で教えてあげるから。ほら、そこの建物まで急ぐよ!」


奈央さんに言われるままに歩き、入ったごく普通の建物。


ロビーに入った俺は……その光景に目を疑った。


色んな部屋のパネルが並んでいて……怪しい雰囲気が漂っている。


その前にあるボタンを押して、機械から出てくるレシートのような物を取った奈央さん。


初めて入ったけど、ここはもしかして……。


「ほら、早く行くよ。こんな所を見られたら、襲われるかもしれないんだから」


そう言って俺の背中を押し、エレベーターへと向かう。


エレベーターに乗り込んで、上の階へと移動する俺達。


奈央さんは何を考えてこんな所に……隠れるなら、ここを使わなくても良いんじゃないの?


戦闘の興奮と、この状況の興奮が混じって、何とも妙な気持ちになってしまう。


今の今まで殺し合いをしていたというのに……。
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