殺戮都市
俺はベッドの上に腰を下ろしていた。


大きなベッド、大きな鏡。


奈央さんがシャワーを浴びていて、その音が聞こえる。


床には脱ぎ捨てられた奈央さんの衣服……下着までもが手の届く所に。


「真治君、腕が折れてるかもしれないんでしょ?遠慮しないで一緒に入れば良いのに」


「だ、大丈夫っす!」


浴室から聞こえた声に、俺はドキッとして変な声を出してしまった。


こんなチャンス、滅多にあるもんじゃないのに、この状況にビビって思うように動けない。


一緒に入ろうといってくれてるんだから、入っても怒られないだろうけど……そんな経験が一度もないから、どうして良いか分からない。


チラチラと、脱ぎ捨てられた下着を見るのが精一杯だ。


デニムのパンツにTシャツというラフな格好で、明美さんに目が行ってたから気にならなかったけど……。


奈央さんは相当スタイルが良い。


目が鋭い印象があって、俺のタイプとは違うんだけど……それでも一般的には美人と言えるのだろう。


そんな奈央さんがどうして風呂に誘っているのか……。


世の中分らない!


悩頭を抱えて悩んでいると、浴室のドアがガチャっと開いた音が聞こえた。
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