殺戮都市
「勇気がないんだね、真治君は。そんなんじゃ、守りたい人が出来ても守れないよ?もしも守りたい人が目の前で殺されそうになったらどうするの?」


「そりゃあ……死んでも守りますよ」


似たような質問をされた時、いつも言っている言葉。


命を投げ出す覚悟があるというのを見せたくて、そんな答えを言っていたのかもしれない。


「それじゃダメ、0点。良い?真治君が死んだら、その後に守りたい人も殺されるって考えないの?本気で守りたいって思うなら、そいつを殺してでも守るって言いなさいよ」


……そんなの、考えた事もなかった。


この街では、確かに奈央さんが言っている事の方が正しい。


だけど……だからと言って、俺の性格が変わるわけじゃないんだよ。


人を殺すなんて嫌だし、罪悪感に押し潰されそうになる。


「なんて、お説教はここまでにして、シャワー浴びてきたら?顔まで真っ赤だよ?」


バスタオルを巻いた奈央さんが、俺の隣に腰を下ろしてそう言った。


腕も治ったし、それも良いんだけど……この日本刀はどうやって消せば良いんだろう?


奈央さんや新崎さんがいとも簡単に出したり消したりしたから、俺にも出来そうなんだけど。
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