色のない世界
「何で隠そうとしたの?」

「あなた達に辛い思いをさせたくなかったからよ…」

そう言ったのを皮切りに、母は決心したように話始めた。

自分が子供の頃、腫れ物みたいに扱われた事。

友達が出来なかった事。

そんな思いを自分の子供にはさせたくなかった事。

「私は結婚して、普通の家庭に嫁いだわ。それでも、神宮寺の娘というのはついてまわった…
だから、父…おじいちゃんが亡くなったのを機に全てを無くしたかったの…
それで、浅井さんにも田中さんにも、これからの人生に関わらないでくれるように頼んだのよ…」

「…」

何にも言えなかった。


.
< 195 / 230 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop